浮世絵Ukiyo-e
-
東海道の各宿場とともに、宿場から連想される芝居の配役と、その配役に相応しい役者を見立てた全百四十枚以上といわれる揃物の一図。十返舎一九著『東海道中膝栗毛』の登場人物、弥次良兵衛(中山文五郎 )と、背景には広重の『東海道五拾三次之内(保永堂版東海道)』より「江尻 三保遠望」が借用されており、表題は羽衣伝説に登場する「天女の羽衣」に縁取られている。
所蔵 / 静岡市
-
広重の東海道揃物作品で題字が隷書体で書かれているため「隷書東海道」とも呼ばれる全五十五図の一図。松原側からの清見潟と富士山の遠望が描かれている作品。他の作品とは異なり、富士に対して松原の距離が近い構図となっている。
所蔵 / 静岡市
-
浮世絵東海道五十三對 江尻
幕末期の歌川派を代表する絵師・広重、三代豊国、国芳が筆をとった全五十五図の一図。主題は東海道の風景ではなく、宿場とその地方に伝わる物語や伝説の人物が描かれ、画面の上部の枠内には宿場に関係する歴史古事、狂歌などが記されている。本図は漁師に奪われた羽衣を取り返し、空高く舞い上がる天女の姿が、枠を突き抜けて描かれている。
所蔵 / 静岡市東海道広重美術館
-
浮世絵東海道名所之内 清見寺
文久三年の十四代将軍徳川家茂の上洛を題材にした全百六十二図の一図。興津の清見寺は奈良時代の創建で、かつて関所も置かれ、様々な歴史の舞台として名高い場所であった。現在は清見寺から三保松原は見えないが、当時は遮るものが無く三保松原は見下ろせたであろう。清見寺、三保松原、富士山には密接な関係があり、浮世絵はじめ多くの絵画に描かれた。
所蔵 / 国立国会図書館
-
武蔵・相模・駿河の景勝の地を八カ所選んで、中国の瀟湘八景になぞらえた全八図の一図。久能山からの眺望。富士山、三保松原、清見寺が描かれている。左手側に清見寺、右に三保松原、奥に富士山と山に沿って描かれた雁の群れなど、典型的な三保松原図と同様の構図となっている。清水の港や多くの舟が描かれ、港(湊)の賑わいを見ることのできる作品。
所蔵 / 国立国会図書館
-
広重の晩年の作品であり、縦の構図で描かれているため「竪絵東海道」とも呼ばれる全五十五図の一図。右手から延びる三保松原と、海上には清水湊に出入りする舟が描かれている。対岸には愛鷹連山と雄大な富士が望まれ、手前の浜に描かれた網干と、遠景の富士の三角形が相似形を成している。
所蔵 / 静岡市
-
北斎の代表作である富士山を題材とした全四十六図の一図。『万葉集』の山部赤人が詠んだ歌で知られる田子の浦を描いた作品。田子の浦は、富士川を挟み三保の入江から浮島ヶ原までの広範囲にわたる海岸の総称とされている。本図は江尻の図として遠景の浜辺では塩浜で働く人々の姿が小さく描かれ、雄大な富士を背景に、近景では、荒波の中漁師たちの奮闘する姿が描かれている。
所蔵 / 東京国立博物館
-
浮世絵三保の松原道中
この作品は駿河の二丁町に住む通人 酒楽斎滝麿が四方赤良(太田南畝の狂歌師としての名)の門に入った記念として刊行された作品で、上部には四方赤良や門人の狂歌が添えられている。図には色鮮やかに着飾った旅の一行が描かれているが、実は江戸近郊の物見遊山の様子であるが、その背景に見えるのは三保松原である。久能側から観た松原と富士山を描いたのは、駿河住人の酒楽斎に関係した内容としたためである。
所蔵 / 太田記念美術館