浮世絵Ukiyo-e
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広重の出世作となった通称「保永堂版東海道」と呼ばれる全五十五図の一図。船が行き交う江尻の港から三保松原を望む。富士山と組み合わせるのではなく、港のにぎわいと三保の松原に焦点を絞った構図は、風景画として、構図をまとめた広重の感覚が生きている。緑で彩られることの多い松原をモノトーンで表現したことで、より印象深い作品となった。
所蔵 / 静岡県立美術館
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明治期に描かれた東海道を題材とした全五十五図の一図。東海道各宿の風俗に名家の書を附した作品で、中には洋風画もあり文明開化の東海道が描かれている。右端に表題に沿って描かれた電信柱も、時代を表している。本図では枠を飛び出し三保松原の上を羽衣をまとい昇天する天女が描かれている。富士と三保松原の風景を歌川重清が描き、天女を歌川芳晴が描いている。
所蔵 / 富士山かぐや姫ミュージアム
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浮世絵東海道名所圖會
東海道を日本橋から京(内裏)まで全十二図の連続した作品であり、そのうちの三島から掛川までを描いた三枚。絵図や絵地図のように宿場や地名も書き込まれ、文久三年の十四代将軍徳川家茂の上洛を題材にした行列が描かれている。三保松原だけではなく、先端に当たる三保の岬や、羽衣の松も描かれている。
所蔵 / 静岡市
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浮世絵東海道名所之内 三保松原
文久三年の十四代将軍徳川家茂の上洛を題材にした全百六十二図の一図。三保の松原を描いた作品の中でも、他と異なり富士山が描かれていないことは珍しい。御穂神社と、浜際にしっかりと根を張る羽衣の松、奥に久能山と家茂の行列が描かれている。
所蔵 / 静岡市東海道広重美術館
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浮世絵東海道薩陀峠之景
文久三年の十四代将軍徳川家茂の上洛を題材にした三枚続きの作品。薩陀峠を越える家茂の行列を描いている。中央に半島のように薩埵峠を強調し、左側上部に富士山、右側の版の上部には三保半島全てが松に覆われている中に三保松原が描かれている。実際には見ることが出来ない風景だが、空間の広がりを感じさせる構図として描かれている。
所蔵 / 静岡市
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広重が最晩年に手掛けた富士山を題材にした全三十六図の一図。左奥に富士、右から松原の先端が伸びてくる構図で、広重は松原に近づき、ひときわ富士山を大きく捉えている。縦長の画面に中景から遠景を重ねた俯瞰構図で奥行と広がりを出している。
所蔵 / 静岡市東海道広重美術館
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広重晩年の作品であり、日本六十余州の国々の名所をくまなく描いた全七十図の一図。縦長の画面に中景から遠景を重ねた俯瞰構図に加え、前景の三保半島を短縮法的に斜めに配置することで奥行と広がりを出している。
所蔵 / 国立国会図書館