浮世絵Ukiyo-e
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浮世絵雙筆五十三次 江尻
上部に広重が風景を、下部に役者・美人画で名を馳せた三代豊国が人物を手がけ一枚の作品をかき分けて東海道を描いた全五十五図の一図。この揃物内では唯一、天女が上部に、風景が下部に配置されている。天に舞い上がった色鮮やかな天女は鳳凰の尾をつかった羽衣と共に、美しい姿で描かれている。富士山を眼下に望み天へ上る姿は、三保松原の羽衣伝説を見事に描いている。
所蔵 / 静岡市
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明治期に描かれた東海道を題材とした全五十五図の一図。東海道各宿の風俗に名家の書を附した作品で、中には洋風画もあり文明開化の東海道が描かれている。右端に表題に沿って描かれた電信柱も、時代を表している。本図では枠を飛び出し三保松原の上を羽衣をまとい昇天する天女が描かれている。富士と三保松原の風景を歌川重清が描き、天女を歌川芳晴が描いている。
所蔵 / 富士山かぐや姫ミュージアム
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浮世絵三保の羽衣
富士を足下遠くに望み、天に昇っていく天女が描かれている。漁師の白龍から、取り戻した羽衣を舞いながら天に戻りつつ、再び失わないように、しつかりと抱くように持つ様子であると推測される。
所蔵 / 国立国会図書館
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浮世絵月百姿 きよみかたそらにも関のあるならば 月をとゝめて三保の松原
月に取材した歴史・巷説・風俗・鳥獣などさまざまな題材で描かれる全百図の一図。内容は能や歌舞伎に基づいた作品も多く、武将や美人画など多肢に渡る。駿河侵攻の際の武田信玄が、三保松原から清見潟を眺めている。信玄の姿は明確に、風景は月の光を浴びて幻想的な雰囲気となっている。
所蔵 / 国立国会図書館
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浮世絵三保の松原道中
この作品は駿河の二丁町に住む通人 酒楽斎滝麿が四方赤良(太田南畝の狂歌師としての名)の門に入った記念として刊行された作品で、上部には四方赤良や門人の狂歌が添えられている。図には色鮮やかに着飾った旅の一行が描かれているが、実は江戸近郊の物見遊山の様子であるが、その背景に見えるのは三保松原である。久能側から観た松原と富士山を描いたのは、駿河住人の酒楽斎に関係した内容としたためである。
所蔵 / 太田記念美術館
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北斎の代表作である富士山を題材とした全四十六図の一図。『万葉集』の山部赤人が詠んだ歌で知られる田子の浦を描いた作品。田子の浦は、富士川を挟み三保の入江から浮島ヶ原までの広範囲にわたる海岸の総称とされている。本図は江尻の図として遠景の浜辺では塩浜で働く人々の姿が小さく描かれ、雄大な富士を背景に、近景では、荒波の中漁師たちの奮闘する姿が描かれている。
所蔵 / 東京国立博物館
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広重の晩年の作品であり、縦の構図で描かれているため「竪絵東海道」とも呼ばれる全五十五図の一図。右手から延びる三保松原と、海上には清水湊に出入りする舟が描かれている。対岸には愛鷹連山と雄大な富士が望まれ、手前の浜に描かれた網干と、遠景の富士の三角形が相似形を成している。
所蔵 / 静岡市