日本画Japanese Paintings
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日本画富嶽図
室町時代には、中国からもたらされた新しい絵画である水墨画がさかんとなり、水墨による富士山と三保松原の図も好んで描かれた。そこには、東海道を旅する僧や多くの文化人が立ち寄った名刹・清見寺も、あわせて描き込まれていた。
所蔵 / 根津美術館
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日本画富士三保松原図
明確な水平線が示され、広やかな風景を見はるかすような現実感を与える。画面左手、興津から薩埵峠に到る山々の描き込みが立体感や質感を表し、遠景が徐々に淡く霞んでいく描写は画面に奥行きを生む。三保松原や海上の舟の描写も息をのむほど細緻である。左下の書き込みにより、現在の鉄舟寺からの眺望を描くものとわかる。
所蔵 / 静岡県立美術館
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日本画富士三保松原図屏風
駿河湾越しに富士山を望む景観を、パノラマ的に描く。左隻の近景の建物は清見寺、右隻の連山は愛鷹山で、右隻には四扇にわたって三保の砂嘴が描かれる。幾何学的な画面構成に山雪の様式がよく示されている。狩野山雪(1631~97)は、京坂などで活躍した京狩野家の祖・山楽に師事、のちに養子となって京狩野家第二代となった。
所蔵 / 静岡県立美術館
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日本画富士三保清見寺図
神宿る山・富士山と名刹・清見寺、そこに三保松原を組み合わせ、安定した構図にまとめあげた作品で、富士山と三保松原の絵の基本形として、多くの模写作品が作られるとともに、後代の富士山図に絶大な影響を与えた。
所蔵 / 永青文庫
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日本画富士山図
三保松原・清見寺・富士山を定型化した構図で描く本作は、全体に淡い墨調でまとめられ、湿潤な空気感の描出に意が注がれている。その繊細な筆墨が本作の見所である。探幽に始まる江戸狩野派の富士山図の優品といえるだろう。狩野洞春(?~1723)は、狩野探幽の養子・益信の養子で、駿河台狩野家の二代当主。
所蔵 / 静岡県立美術館
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日本画三保松原図
明治期の日本画家、橋本雅邦の描いた三保松原。遠方に見える富士山が霞と共に淡く描き出されている。手前には白砂青松の名の通り、透き通るような砂浜と、風を受けながらもしっかりと根付いている松が描かれている。
所蔵 / 東京富士美術館
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日本画富士三保松原図屏風
右隻に駿河湾越しの大きな富士山を望み、左隻には清見関や清見寺、江尻宿などが描かれる。左右隻をつなぐように三保松原が描かれ、先端にひときわ大きく表されるのが羽衣の松であろう。丸みをおびた富士山頂や金雲のわき立つようなリズムが、のびやかな印象を与える。山あいでは桜が満開。春らしいおおらかな画趣が魅力である。
所蔵 / 静岡県立美術館
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日本画富士山図
富士山を日本平方面から海越しに望み、左に清見寺、右に三保松原を配した富士三保松原図。柔らかな筆墨で表された富士の裾野や、湧き上がる雲など、詩的情趣あふれる清新な表現を見せ、飛翔する鶴、製塩する人など、細部描写にも余念がない。富士山図の名手・狩野探幽(1602~74)の魅力が遺憾なく発揮された、晩年の代表作。
所蔵 / 静岡県立美術館